エムポックス(サル痘)」WHOが緊急事態宣言
WHO=世界保健機関は「エムポックス」、これまでのサル痘の感染がアフリカ中部のコンゴ民主共和国で拡大し、アフリカ以外にも広がるおそれがあるとして、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」 サル痘 緊急事態宣言 を宣言しました。
これは、WHOのテドロス事務局長が14日 痘 緊急事態宣言、記者会見を開いて発表したものです。
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「エムポックス」、これまでのサル痘は、発熱や発疹などの症状が現れるウイルス性の感染症で、おととしにも1度欧米を中心に感染者の報告が相次ぎ、緊急事態が宣言されました。
その後、感染者数が減少し、緊急事態宣言は1年足らずで終了が発表されましたが、WHOによりますと、アフリカ中部のコンゴ民主共和国を中心に再び感染が拡大しているということです。
おととしと比べて重症化しやすい新たなタイプのウイルスも広がっているとみられ、コンゴ民主共和国ではことしだけで1万4000人以上の感染が確認され、524人が死亡したということです。
感染は周辺の国でも確認されていることから、WHOは、14日、専門家による委員会を開いて検討した結果、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。
感染経路としては、性的接触による感染のほか、動物からの感染や、家庭内で子どもが感染するケースもみられるということです。
テドロス事務局長は「アフリカの中、そしてアフリカ以外でさらに広がるおそれがあり、憂慮すべきだ」として、感染拡大を抑えるため、各国が協調して対応する必要があると訴えました。
サル痘 緊急事態宣言「今回流行のウイルスは以前と比べ病原性強い」
エムポックスに詳しい岡山理科大学の元教授 森川茂さんは「主に接触感染で広がるウイルスだが、今回の流行では家庭内感染などで子どもが発症するケースが多いなど、性的な接触ではない通常の接触での感染リスクが高まっている。また、今回流行しているウイルスは以前流行したものと比べ病原性が強く、特に15歳未満の子どもでの感染者が多く、重症化して亡くなる方も多いと報告されている。このウイルスがさらに広がると全く違う形の流行になるということでリスクが高いと判断したとみられる」と話しています。
さらに「エムポックスには天然痘に対して作られたワクチンが効果があると考えられていて、接種も行われているが、アフリカにはまだ十分な量のワクチンが供給されていない。今後、アフリカでのワクチン接種が遅れてしまうと世界中に感染が拡大するリスクがある」としたうえで、「日本でも、アフリカの流行地域にいた人が知らないうちに感染して帰国して発症するリスクが考えられる。発症初期には発熱などの症状があるので、流行地域に滞在した人は発熱があればエムポックスを疑って医療機関で検査を受けてほしい」と呼びかけています。
WHO、エムポックスで「公衆衛生上の緊急事態」を宣言
世界保健機関(WHO)は14日、アフリカの一部地域で発生しているエムポックス(サル痘)のアウトブレイク(大流行)について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
最初のアウトブレイクはコンゴ民主共和国(DRC、旧ザイール)で発生し、少なくとも450人が死亡した。
現在は中央アフリカと東アフリカの一部に拡大している。科学者たちは、新たな亜種が急速に広がっていることや、その致死率の高さを懸念している。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、アフリカ内外で感染がさらに拡大する可能性があり「非常に憂慮すべき」事態だと述べた。
「このアウトブレイクを食い止め、人命を救うには、国際的に協調した対応が不可欠だ」
前日の13日には、アフリカ疾病予防管理センターの科学者たちも公衆衛生上の緊急事態を宣言していた。
同センターのジャン・カセヤ代表は、現在のアウトブレイクを食い止めるために早急な対策を講じなければ、手に負えない状況に陥る恐れがあると警告した。
「この脅威を封じ込め、排除するために、我々は積極的かつ果敢に取り組まなければならない」
「これまでで最も危険な」変異株が拡大
エムポックスは伝染力が強い感染症で、以前はサル痘として知られていた。
性行為や皮膚病変(発疹部位)への接触、ほかの人と近い距離で会話や呼吸をするなどの濃厚接触によって感染する。
インフルエンザのような症状や皮膚病変を引き起こし、致死率は100人に4人と、命に関わることもある。
エムポックスウイルスには大きく分けてクレード1(コンゴ盆地系統群)とクレード2(西アフリカ系統群)の2種類がある。
2022年にWHOが緊急事態を宣言した際のエムポックスの感染拡大は、比較的症状の軽いクレード2によるものだった。
しかし今回は、より致死性の高いクレード1が拡大している。クレード1の過去のアウトブレイクでの致死率は最大10%だった。
ウイルスに変化がみられたのは、昨年9月ごろだった。
変異によりクレード1bと呼ばれる派生型が生まれ、以来急速に感染が広がっている。この変異株は「これまでで最も危険なもの」だと指摘する科学者もいる。
今年に入ってから、コンゴ民主共和国では1万3700人以上が感染し、少なくとも450人が死亡した。
その後、ブルンジや中央アフリカ共和国、ケニア、ルワンダなどほかのアフリカ諸国でも感染が確認されている。
緊急事態宣言は事態の「深刻さ」示すものと
今回、WHOが公衆衛生上の緊急事態を宣言したことで、エムポックスの研究や資金提供、そのほかの国際的な公衆衛生対策の導入が加速することが期待されている。
英保健慈善団体ウェルカム・トラストのジョシー・ゴールディング博士は、「強いシグナル」を送るものだとし、米エモリー大学のボグマ・ティタンジ博士は、今回の動きは「この危機の深刻さを強調している」と述べた。
英オックスフォード大学のグローバル・ヘルス・ネットワーク・ディレクター、トルーディー・ラング教授は、「重要かつタイムリー」な対応だとしつつ、新しい変異株の出現は、「対処すべき未知のものが数多く」存在することを意味すると付け加えた。
2022年7月には、より症状の軽いクレード2が、欧州とアジアの一部を含む約100カ国に広がった。
感染は急速に拡大し、WHOの集計によると、8万7000人以上の感染と、140人の死亡が報告された。
エムポックスには誰もが感染する可能性がある。しかしこの時は、主に男性と性行為をした男性の間で広がった。
このアウトブレイクは、ウイルスによりぜい弱な人たちにワクチン接種を行うことで、沈静化した。
「エムポックス(サル痘)」が分かる6つのポイント──WHOが緊急事態宣言
世界保健機関(WHO)は8月14日、エムポックス(旧称サル痘)がコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)とアフリカ諸国で急拡大していることを受け、緊急事態を宣言した。国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態として、アフリカ大陸の国々の他、アフリカの外にも広がる可能性があるとWHOは警告している。
コンゴでは2年以上前からエムポックスの患者が増加していた。それが、ここ最近数カ月で状況がさらに悪化。さらに、ヒトからヒトへの感染につながる変異が見られている。また、以前から紛争が多発している北キブ州で暮らす避難民の間でも、感染の疑いが報告されるようになった。
コンゴで一体なにが起きているのか。国境なき医師団(MSF)は、この新たな緊急事態に対して、いかに対応しているのか。コンゴでMSFの医療コーディネーターを務めるルイ・アルベル・マシン医師に話を聞いた。
1. 感染すると発疹や痛みが
エムポックスは、文字通り、エムポックスウイルスが引き起こす病気です。感染した人間や動物と接触することで感染していきます。
もともと、エムポックスは、1970年代から、中央アフリカと西アフリカで流行し始めました。それが、2022年から2023年にかけて、急速に世界中に広がったのです。これまでに110の国で患者が確認されています。
エムポックスに感染すると、発疹や痛みを引き起こします。こうした症状を適切に対処して、さらなる合併症を回避するためのいわゆる支持療法が必要です。適切な治療を受ければ、1カ月以内に回復するケースがほとんどです。しかし、放置しておくと命取りになりかねません。
2. コンゴで患者が急増
もともと、コンゴ国内26州のうち11州において、エムポックスは長年流行していました。それが、ここ2年以上前から、患者数が急増し、2022年12月にコンゴ保健当局が流行宣言を発しました。2023年には感染の疑いのあるケースが1万4600件以上にのぼり、654人が死亡しました。
2024年に入ると、状況はさらに悪化しています。1月から7月中旬までの間に、感染の疑いのあるケースが既に1万2300件以上となっています。その範囲は23州にまで及んでいるのです。今年に入ってから、すでに479人以上が亡くなっています。世界保健機関(WHO)の推計では2022年におけるエムポックス死亡者数は世界全体で89人だったので、今年は特に多いのです。
3. 流行のスピードが加速
憂慮すべきなのは、流行のスピードが上がっている点です。特に、コンゴ東部の南キブ州では、遺伝子変異が確認され、ヒトからヒトへの感染が数カ月にわたって続いている状況です。
この変異に加えて、さらに懸念すべき事態が起きています。それは、北キブ州ゴマ周辺の避難民キャンプにおいて、エムポックスが確認されるようになった点です。ここは人口密度が高く、特に危険な状況です。コンゴ国境を出入りする人びとも多い。エムポックス流行が爆発的に拡大していくリスクを見ておく必要があます。
症例の発見、患者のモニタリング、治療の提供。こうしたプロセスが必要でますが、コンゴでは、それが十分に整備されていません。ワクチンも不足しているため、状況はさらに困難です。一部地域では、エムポックスが神のお告げや妖術と受け止められています。これでは、公衆衛生の対策を打ち出しても、人びとは守ってくれません。地域のリーダーたちに協力してもらい、住民たちの意識を変えていく必要があります。
MSFでは、リスクの高い地域の人びとをワクチン接種で保護していくために、スタッフを動員しているところです。
4. ワクチンの供給が急務
コンゴ政府は、すでに2種類のワクチンを承認しました。現在、それらワクチンの入手に務めていますが、現段階では利用できる状況にありません。いくつかの国々と供給交渉をしたり、ワクチンを優先して配布すべき地域を選定しているところです。一刻も早く、コンゴに十分な量のワクチンが供給されることを期待しています。
5. MSFは複数の州で医療援助を提供
私たちは、コンゴにおけるエムポックス流行に対応するため、複数の援助活動を行ってきました。2021年にはマインドンベ州で、2023年から2024年にかけては、赤道州で緊急援助活動に入りました。状況に応じて活動を広げているところです。
南キブ州
6月中旬から、MSFチームの一部が、南キブ州のウビラ保健区域で支援に入りました。総合拠点病院において、重症患者については治療にあたり、軽症患者については外来診療で対応し、感染の疑いがある患者については隔離を行っています。
また、医療スタッフたちに臨床管理研修を実施したり、感染予防に向けた啓発活動にも取り組んでいるところです。5週間で420人以上の患者治療にもあたっています。そのうち217人は重症患者でした。また、治療やサンプル採取用キットを病院に供給する活動にもあたっています。
北キブ州
北キブ州のゴマにある避難民キャンプにおいて、エムポックスの調査活動に入りました。病気の発生状況について、調査・集計・監視を行う疫学サーベイランスです。啓発活動も実施しています。また、現地の医療施設が、トリアージ(重症度・緊急度などに基づいて治療優先順位を決めること)、隔離措置、患者管理を適切に実施できるよう取り組んでいるところです。
赤道州・南ウバンギ州
コンゴ北西部でも、2つの地域で活動を開始しています。1つは赤道州のビコロ保健区域、もう1つは南ウバンギ州のブジャラ保健区域です。いずれの援助活動も、今後数カ月間にわたって実施される予定です。
この両地域では、エムポックスに関する治療方法と心のケアについて、医療スタッフ向けの研修を実施します。それだけでなく、疫学的サーベイランス、感染予防策、地域啓発活動などにもあたっていく予定です。特に、障がい者など、これまで関与の難しかった人びとへのアプローチは欠かせません。
ブジャラでは、6月中旬から7月中旬にかけて、MSF支援の下に329人の患者が治療を受けました。また、赤道州では、保健当局と協力して、ウイルスの動態や感染症対策について理解を深めるための研究も行っていきます。
6. より多くのリソース投入とワクチンが不可欠
今回の流行は、さまざまな地域で拡大していますが、いずれも人口動態や地理的状況が異なります。それゆえ、対応内容を多層化するだけではなく、各地域の特性に応じたものにしないといけません。ワクチン供給が始まるまでの間、できる限り多くのパートナーと提携して、患者のケアをはじめ、分析や監視、隔離措置、啓発活動などに努める必要があります。現在、これらの活動は不十分なままです。十分に機能させていくには、膨大なリソースを投入しなければなりません。
そして、なによりもワクチンが不可欠です。現在、コンゴには、感染リスクの高い状況下で生きている人びとがたくさんいるのです。エムポックス流行地の住民、医療従事者、セックスワーカー、キャンプの避難民──。彼らを守るために、一刻も早く、十分なワクチンがコンゴまで運ばれなくてはなりません。
FAQs:
Q:サル(Monkeypox)とは何ですか?
現在、エム(mpox)と呼ばれるMonkeypoxは、発熱、発疹、腫れたリンパ節など、天然poに似た症状を引き起こすウイルス性疾患です。
Q:なぜPOXの公衆衛生の緊急事態を宣言したのですか?
世界保健機関(WHO)は、いくつかのアフリカ諸国におけるPOXの急速な広がりにより公衆衛生の緊急事態を宣言し、重大な健康リスクをもたらしました1。
Q:POXの発生の影響を最も受けている国はどれですか?
この発生は、コンゴ民主共和国、ブルンジ、ケニアなど、中央および東アフリカの国々に大きな影響を与えています。
Q:poの症状は何ですか?
症状には、発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、腫れたリンパ節、悪寒、およびしばしば顔に始まり、体の他の部分に広がる発疹が含まれます。
Q:MPOXはどのように送信されますか?
MPOXは、感染した人や動物との密接な接触、または寝具や衣類などの汚染された材料を通じて伝染します。
Q:poのワクチンはありますか?
はい、ワクチンはもともと天然poのために開発されました。ワクチン接種キャンペーンは、影響を受ける地域で実施されています。
Q:アウトブレイクを制御するためにどのような措置が講じられていますか?
対策には、ワクチン接種、公開啓発キャンペーン、旅行制限、監視および報告システムの強化が含まれます。
Q:個人はどのようにしてPOXから身を守ることができますか?
個人は、感染した個人との密接な接触を避け、良好な衛生を実践し、公衆衛生のガイドラインに従うことで身を守ることができます。
Q:私がpoを持っていると疑ったらどうすればよいですか?
あなたがpoxを持っていると疑っている場合は、すぐに医師の診察を受け、ウイルスの拡散を防ぐために自分自身を隔離し、医療専門家のアドバイスに従ってください。